声は永遠であり永遠ではない

何から話すべきだろうか

これは自分の心を整理するために書く散文であって、めちゃくちゃとっ散らかることであろう。

読む必要なんてないだろ、ということで垂れ流させてください。

 

志村正彦が亡くなって幾年かしたあと、日本武道館で志村の声を聞いた。

無人のセンターマイクからは確かに録音済の志村正彦の歌声が聞こえた。

"茜色の夕日だけは志村が歌うべきだ"というフジファブリックのチーム全体にある強い意思を感じた。

 

あるいはグランブルーファンタジーというソシャゲでは、亡くなった声優の収録ボイスは残し、ゲーム内では後任声優とのWクレジットを採用した。

 

声は、だれも持ち得ぬ個性のひとつだ。

亡くなった方が自分の意思でしゃべる日は二度とこない。

 

私がず〜〜〜〜っと長年大好きな「テニスの王子様」にて、主人公の所属する青学のライバル校のひとつである六角中メンバー、天根ヒカルを演じた竹内幸輔さんの訃報が飛び込んできた。あまりにも急に。

 

一番最初に浮かんだ言葉は「マジか。ついに来たか」だった。

なんせ、病気や加齢に基づく衰弱さまざま理由あれど、自分が子供の時から親しんできた声の主が、声優が亡くなるニュースは直近でもいくらか目にしている。

アニメという産業が今のような形になって、それから最前線を走ってきた方々の多くは現役でもあるが一定の世代が塊となっているわけで、まるっと高齢化に傾くのはどうしようもないし仕方ない。人はいつか死ぬ。

いつかこういう日は自分の人生をかけて好きといえるジャンル...すなわちテニプリにもくるんだ、と少しの覚悟は元からうっすらあった。

...ので、放心状態ではあるものの、妙に冷静な自分もいた。

 

テニプリはアニメ20周年を迎えた。

その間、声優の交代はない。なかったはず。

亡くなる、ということもまだなかったはずだ。

 

当然、竹内さんよりもずっと高齢の声優もいるので、だからこその覚悟だった。

そう、よりによってまだまだ若く、なにか病気療養などこちらから把握できるトリガー的要素があったわけでもない方が...!?という驚きとショックで余計に受け止めきれない部分もある。

 

だから、いまだに「お悔やみ申し上げます」「哀悼の意を表します」「ご冥福をお祈り致します」などといった言葉が、心の底から出てこない。そういうツイートも全然できない。(わざわざSNSで逐一言及することが正しいとも言えないが)

 

ああ、私は竹内さんから発せられるダビデの新録ボイス二度と聞けないんだな...という喪失感がただただある。

 

私はタレントとしての竹内さん個人のファンではない。

まして、キャラクターの中で天根ヒカル(=ダビデ)が作中イチ好きというわけでもない。

でもテニプリというコンテンツを広く深く愛するファンとして、20年間ほどの長い期間天根ヒカルというキャラクターの魅力の一部であり、出演ラジオや配信においてはいつもコンテンツとキャラクターへの愛を感じられた、そんな竹内さんのボイスという宝の喪失は大きい。

 

訃報はアニプリ公式Twitterから知った。

元はあばれヌンチャクというお笑いコンビでスタートし、相方の桜塚やっくんを亡くしている。

オンエアバトル世代で芸人追いかけてた層には馴染み深い存在でもあるだろう。

だからこそ余計に"悲劇の芸人"みたいな感じのドラマを求められた注目度なのかな、と野次馬の卑しさをかすかに感じながら、この日はただトレンドを見つめたり、今後を心配するしかなかった。

 

竹内さんは、めっっっちゃ著名な声優ではないと思う。

いってしまえば、"ネルケキャスティング"(ネルケプランニングという会社による主にテレ東アニメキャスティングあるある)などといわれるヤツで、テニプリにはこの手の芸人さんや声優経験のない舞台俳優を引き連れたキャスティングが多く、竹内さんはまさにその枠といえる...と思う。

そういう方の多くが、「代表作:テニプリ」といった感じだったりする。

だから声優と報道されても「誰?」ってなった人も、きっと多いんだと思う。

訃報に「誰?」とかいちいち言う人の倫理観は疑うけど。

 

テニプリはご長寿バケモノコンテンツだし、数多のヒット作に参加している声優も多くいる。でもキャラクターの人気度は声優の有名度にそこまで依存していない。

なぜか...というとやはり原作の力の強さ。公式ファンブックがあることでファンの中に設定が補完されてしっかりキャラクターが根付くし、なんなら"テニミュ"という実写版俳優の力も大きいし...

もちろん完全に声優の影響がないわけではない。

ご本人の濃い振る舞いや女性向けコンテンツでの活躍の影響...岸尾だいすけさん演じる福士ミチルのように、担当声優の力によって原作の出番や立ち位置以上に支持が厚く、キャラソンまで出た例もある。

今夏スタート予定の新テニアニメでも数々の人気声優の新規参加が決まっていて、特にまだ掘り下げの浅い海外選手キャラの人気もここから火がつくかもしれない。

でも...例えば本編ラスボス+人気上位の幸村精市の声優は永井幸子さんだ。この方も舞台俳優メインかつアニメ出演の数は少なく、"声優として"はおそらく知る人ぞ知るくらいの、テニプリならではの唯一無二なキャストだと思うわけで。

 

長すぎた閑話休題。すまん。まあ、テニプリってこうなんですよ。

こういうキャスティングだと、なんというかきっと自由度が高いのでしょう。

テニプリはアニメ制作が行われなくても、原作での出番がなくなってしまっても、全員というわけではないが、アニメにさえ出ていれば声優がかわるがわるラジオやライブ配信をしたり(ラジプリ/テニチャ)、キャラクターソングが出たり、それにちなんだライブイベントもあったり、ちょっと前までなら出番や掘り下げが不十分なキャラまで巻き込んで育成ゲームや恋愛ゲームまで出していた。

 

キャラクター数の圧倒的な多さに対して、それぞれ新しく声が聞ける機会が、可能性が、おそらく他のコンテンツより多めにある。

 

今はテニラビ(音ゲーのソシャゲ)まで出しており、ここで毎年バレンタイン・ホワイトデーはほぼ確定で(新テニ出演済かつゲーム内実装キャラではあるけど)全員の新録ボイスが聞ける。

 

何を隠そう、天根ヒカルも主人公たちの道中に立ちはだかるライバル校、いわば中ボス的な役割で、原作の出番・活躍は限られてごっそりなくなってしまった。

しかし恋愛ゲームの攻略対象にもなるし、新テニのアニメに出たことによりソシャゲに実装されている。登場人物全体で見れば、毎年のソシャゲ新録ボイスが半ば約束されているのでかなり"優遇"寄りのキャラクターだ。

熱心なファンの力も相まって人気投票で一位を取ったことすらある。

オタク的にはその時の竹内さんの喜びについても、把握している。

 

我々がダビデ役の竹内さん⇄テニプリのオタクとして対峙した機会は、おそらくテニプリ公式Youtubeの生配信(テニチャ)ゲスト出演が最後だろうか。

声優として代表作となるであろうダビデのことを、キャラクターを、めちゃくちゃ私物化するような詰めた距離感や熱すぎる温度感ではなく、しかし作品とチームとキャラへの愛情たっぷりに演じて、日々オタクの反応も気にしてくださっているのだな...と。

テニミュのほうで同じダビデ役を演じた俳優とも交流されてたようなので、媒体を超えた良好な関係を築いて架け橋になってくれてたんだなと。

 

あーーー何がいいたいのかわからなくなってきたな。

ごちゃついてるけど私の中で渦巻いてるのはこういうことなんだとおもう

・息の長いコンテンツがいつかぶつかる高すぎる壁に本当にぶつかっているという実感

テニプリという"供給の可能性"という希望に満ち溢れたコンテンツは永遠ではないという実感

ダビデの"生きてる声"がもう聞けない寂しさと悔しさ

・後任つけるよな?という懸念、つけるとしてどうすんねんという心配

・人の死に勝手にドラマを見出すな(あばれヌンチャクがらみ)という怒り

・訃報に「誰?」というカスコメントへの怒り

・独特のキャスティングが根付いたコンテンツだからこそキャラとの距離を詰めすぎてる人も正直いる(と私は思うことがある)中ですごくちょうどいい距離でファンとの信頼を作ってきた方なんだなと実感するとともに、そのような誠実なキャストを失ってしまった惜しさがある

 

このへん。このへんだきっと。

 

あとは...言及しとくか。後任うんぬんを...

 

私としては、六角中まわりのことにいくつか期待してたことがある。

 

ダビデのバレキスもしくはサマバレ聴きてえなあ!

②BEST GAMESの六角戦はよ!(TVシリーズではアニオリ展開だったので...)

 

当然、誰も欠けずに近いうち順番が巡ってくると信じて疑わなかった。

少なくとも①は収録されてない限り竹内さんの声で聞けることは二度となくなってしまった。

 

しかし、しかしだ。私はここで「あったかもしれない天根ヒカルの活躍」という可能性をなくしてほしくないのだ。

故人の心情など私が勝手に代弁できるものではないけど、竹内さんが愛情を持って演じてくれたキャラクターのあゆみを止めることは果たして誠実なんだろうか?

 

確かにキャラソンはわからん。でももしBEST GAMESなど制作の可能性があるならば...そして現状ボイス新録が年一以上はあるだろうテニラビについても。

やはり後任を立てて欲しいと思う。

 

オタクが求める適任者としては、声質のマッチは勿論、そもそもテニスに縁のある方を望む声がもしかしたら大きいかもしれない。逆に人気の〇〇くん当ててみたいな半ば不謹慎で俗っぽい声もあるかもしれない。どちらにせよ急なことで、しかも代わりを見つけるだなんて難易度EXだ。

それでも、これからもダビデにはダジャレをいっぱいしゃべってもらう必要がある、と思う。

 

私はテニラビの運営にご意見を送ったのだけど、まずテニラビに対しては冒頭のグランブルーファンタジーのようにWクレジット制を望んでいる。

アニプリそのものの出演はそりゃ後任のみにはなるだろう。だからこそ、テニラビが続く限りは新規層が竹内さんのダビデを聞く機会としてひとつ設け続けて欲しい。

(なお、問い合わせの返事としては、やはり同様の問い合わせが多かったのだろう。上へ共有しますよ、という定型文にくわえ、お悔やみのメッセージとともに、"竹内さんの分身である天根ヒカルくんを応援してもらえるよう頑張ります"といった返信がきた。)

 

で、②だ。後任が決まれば制作の可能性を潰す必要がない。

どうか...どうか私に葵剣太郎VS海堂薫の試合を見せてくれんか!?

なんだったら、後任の方がつくとして、イチから六角戦での活躍を演じる機会があるというのは大切なのではなかろうか...。TVシリーズ(つまり竹内さん自身のキャリアとして)も当然初登場〜活躍したのはここの話のわけで。だから、より理解を深めてもらって...。

若干不謹慎気味ではあるが、BEST GAMESについてはかねてよりずっと期待を寄せていたので「今この状態のため、後任をつけて企画が進んだ場合のメリット」という点での話なのでご理解いただきたい。

 

当たり前だけど、声は変わらない方がいいに決まってる。でもその声を使えるただ一人の人がもういない。訃報さえなければ、私は能天気にただ六角リメイクしろ〜って言ってるオタクでいられた。

 

じゃあお前、後任誰だと思ってんだ?と聞かれたら「知らん」としかいえん。

そのへんはまだまだ協議中だろうし、公式発表を待つほかなく、私自身も〇〇がいいなんて意見は持ってない。持てない。竹内さん以外に考えらんないんだから。

 

まじめに予想するならすでに竹内さんからの役の引継ぎ経験があってテニプリにも出演済み&出演予定がある漢字が違う同じ苗字のあの方あたりがまっとうなのかな〜と...でも、そうやってうっすら悲しみを払拭するために余計なことも考えたけどわからん。答えはないですこんなものは。

 

まとまらないな。さいごにダビデの好きなところでも書くか。

明るい話で終わりたいな。

そう。天根ヒカルくんは、ダビデ...ダビちゃんはな、生きとるんや。

漫画の中できょうも、元気にテニスしとるんじゃい。

 

じゃあいくよ

 

試合で髪の毛乱されてポニテにしたところ〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

結構単語単語でしゃべるからそっけないようでいてダジャレとパフェが好きで恋愛ゲーム上でもクーデレっぽいところ〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!

 

はあはあはあはあ

 

記事を悩みながらとっ散らかりながら書いてるうちに、やっと言えそうだ。

 

竹内幸輔さん

あなたのパーソナリティまでは、ただのテニプリのいちオタクの私にはわかりません。

ただきっと、今回の悲しいできごとは、直前のツイートなどを拝見する限りご本人すらも想像しなかった展開だったように思え、その苦しみを想像するととても心が痛いです。

私からは「ダビデにぴったりの声をありがとう」という感謝しかございません。

テニチャなどを通して断片的にとてもキャラを大切にしてくれていることを把握した程度ではありますが。魅力的なキャラクター溢れるテニプリという作品の中で、あなたが吹き込んだ命は多くのファンの心に愛嬌を振りまいてくれました。

心から哀悼の意を表し、お悔やみ申し上げます。

 

〜〜〜

 

テニラビで六角キャラソンしゃんしゃんしたり、モアプリのダビデルートやろうかなって。

そう。収録済みの声は永遠なんだ。でも新しい言葉を聞くことはない。

だから永遠であり永遠ではない。

 

続報を待ちつつ、これからもその声を聞いて、思い出しながら、私は作品を愛でようと思います。